オバマ大統領の演説




米国大使館ホームページに先日、ネバダ州ラスベガスでの演説の翻訳がでていました。
訳文を公開しておきます。

米国は移民国家だ。その事実は他国に比べて常に米国の大きな利点となってきた。そのおかげで米国は若々しさ、活力、起業家精神を保つことができる。しかし現在の米国の移民制度には破綻しており、誰もがそのことを知っている。

 だから約2年前、私は本校で、移民制度改革の原則について説明した。その5カ月後、上院では、民主党議員、共和党議員、そして無所属議員が歩み寄り、良識ある法案を通過させた。この法案は国境を守ると同時に、すでに米国で居住している不法移民が、罰金を払って納税を始め、移民登録申請者の順番待ちリストに加われば、彼らに市民権を得る道を開くものとなるはずであった。独立した専門家たちは、この法案が経済を成長させ赤字を削減させると述べた。

 下院でこの種の法案の採決が行われていれば、民主、共和両党の支持を得て可決されたはずだ。そして今では法律となっていたであろう。しかしこの1年半、下院の共和党指導者たちはこの簡単な採決を行うことを拒否してきた。私は今でもこの問題を解決する最善の方法は、両党が協力してこのような超党派法案を成立させることだと信じている。しかしそれが実現するまで、大統領として私に与えられている法的権限に基づき実施できる措置がある。私以前の民主、共和両党の大統領が取ったものと同じような措置であり、米国の移民制度をより公平かつ公正にする措置である。

 今週、私はその措置を取った。我々は国境により多くの人員、設備を投入して、取締官による不法入国の阻止とすでに不法入国してしまった者の送還を支援している。安全保障の脅威となる者を重点的に取り締まる。安全保障の脅威となる者とは凶悪犯であり、家族ではない。犯罪者であり、子供ではない。我々はまた、隠れている不法移民を公の場に導いて、彼らが規則に従い、払うべき税金を全納し、犯歴照会を受けて問題なしと判定され、法律を順守できるようにする。

 今回取った措置は決して、最近米国に入国した者や将来米国への不法入国を試みる者の利益となるものではない。市民権をや永住権を認めるものでもなく、市民が受けるのと同じ利益を提供することもない。また批評家が何度主張しようと、恩赦でもない。むしろ現行の移民制度の方が恩赦に近い。なぜなら多くの者が税金を払わず、規則に従わずに米国で生活しているからだ。私が今週取った措置により、ようやくその不正が正される。

 皆さんはすでに聞いていると思うが、連邦議員の中には、移民制度を改善する私の権限に疑問を持つ方もいる。それに対して私が言うことは1つ。「法案を可決しなさい」だ。私が法案に署名して法律となれば、この問題解決のために今週私が取った措置は不要となる。

 一方で、1つの問題について一致しなかったからといって、他のあらゆる問題についても決裂することは避けなければならない。それでは我々の民主主義が正しく機能していないことになる。この議論には、通常の政治的駆け引きの対象になる以上の価値がある。我々の将来にとって重要である。これは我々がどうあるべきか、そして我々が築く将来に関する問題である。

 我々が今ここいるのは、この国が我々の祖先を迎え入れ、米国人であるということには、外見や出自以上の意味があると教えてくれたからにほかならない。我々が米国人たるゆえんは、我々は皆、生まれながらにして平等であり、自分が望む人生を送る機会を与えられているという理念を守る責任を共有していることである。それこそ我々が受け継いだ国であり、これを将来の世代に引き継がなければならない。

 ありがとう。米国民に神のご加護を。良い週末を。



上の動画の長さに比べ、ずいぶん文章が短いなと感じました。
ずいぶんと要約しているようです。

こちらのブログに詳しい訳がでていたのでリンクを貼っておきます。

こちらを拝見すると、ずいぶんとわかりやすく具体的にスピーチしているなと思います。
本当は、動画である程度理解できないといけないのですが・・・・


すでに米国で生活している不法移民へのなんらかの改革も重要事項ですが、それとは別に近年の国境越えの問題もかなり深刻なようです。

最近の南部の国境越えの不法移民はメキシコ人ではなく、中米(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス)の国内の治安が恐ろしく悪化している国からが多いと聞きます。
しかもその不法移民のほとんどが子供という事です。いわゆる国外への非難を目的とした国境越え。それが毎日何百人もやってくるそうです。これらの子供たちは人道的被害者であり亡命者でもあるので無碍に強制送還することもできずいる状態のようです。米国に救いと安住の地をもとめて子供たちに危険を承知で国境越えさせる親の気持ち、わからないでもありません。けど親が
守らないでどうするの?という気もします。
国境の警備の強化が行われると、こういった国の人たちへのなにか別の支援が必要になりますね。

大統領が宣言した中に、技能の優れた移民や学生が、いまより簡単かつ迅速に滞在できる制度と
いうものが出てきました。これは、ずいぶん前ですけど両議会で可決されたDVプログラムの
廃止とも大きくかかわってきそうな感じがします。

はたして、残り2年でオバマ大統領は大統領特権を行使しこの移民制度改革を断行するのでしょうか。
断行となれば移民制度が大きく変わる事になりそうです。